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八ッ場ダム建設に初対話は平行線

前原国土交通相は1月24日、八ッ場ダム建設中止を表明している、建設予定地の群馬県長野原町で住民との初の意見交換会に出席したが、結果的に地元住民の初対話は平行線で終了した。

前原国土交通相は「将来に対する不安を抱かせていることはすべて政治の責任」と頭を下げたものの、「皆さんの気持ちに応えることができない可能性もある」と八ッ場ダム建設中止を撤回しない姿勢を見せた。

 

このため住民側は「八ッ場ダム建設中止を受け入れたわけではない。」と反発し、妥協点は全く見えないまま会合は約2時間で終了した。

この日会場となった長野原町の町立体育館に午後2時に姿を見せた前原国交相が小さく一礼すると住民約140人は息を潜め、会場にはピリピリとした空気が漂った。

 

そして「八ッ場ダムを横に置くならば、どういう生活再建を国として作り上げていけるか時間の勝負」と早期に議論を進めることを呼びかけ、「八ッ場ダムがない状況で、皆さんの生活をどう作れるかお話をさせていただきたい」と述べて、もう一度頭を深々と下げた。

これに対し、水没関係5地区連合対策委員会の委員長、萩原昭朗さんが「建設中止の方針を受け入れたわけではないので、建設中止になった場合の議論はしない。」と抗議の声を上げ、代表の12人が意見表明に立った。

 

長野原町議の星河由紀子さんは、八ッ場ダム問題による過労で14年前、夫が突然死したという。「移転した人たちは『八ッ場ダムができればあきらめがつく。できなければ古里への未練が残る』と言っている。そのためにもぜひ八ッ場ダムを完成させてほしい」。星河さんの涙の訴えに、会場から大きな拍手が上がった。

前原国土交通相は昨年9月に就任後初めて長野原町を訪れる前、地元の理解が得られるまでは八ッ場ダム建設中止の手続きを始めないことを表明。

 

地元住民の願いは果たして届くのだろうか…