建設ニュース

宿泊施設7割消防法違反

広島県福山市で7人が死亡した5月のホテル火災を受けた宿泊施設の緊急点検について、県は3日、消防法違反があった施設が約7割、建築基準法違反の施設が約8割に上ったと発表した。県は改善計画書の提出を求めるなど是正指導する。点検は、消防法や建築基準法の基準が強化された1971年以前に建てられた地上3階建て以上の建物で、改正基準を満たしているか未確認だった施設や、査察で不備事項が是正されなかった施設などを対象に実施。県内の全宿泊施設6110件のうち、消防本部管轄で925件、建築指導部局管轄で233件を対象とした。

消防本部管轄で点検を終えた881件のうち、違反があったのは656件(74%)。内訳は、火災報知器の動作不良や設置不足、誘導灯の不備などの消防用設備違反375件、消火・避難訓練の未実施、カーテンへの防炎物品の不使用など防火管理違反566件、設備点検などを報告しなかった違反が291件だった。

県の地方事務所などの建築指導部局では229件の点検を終え、192件(84%)で建築基準法違反を確認。非常用照明の電球切れや設置不足、避難経路への物品放置などの防火・避難設備違反170件、建築物の定期調査結果の未報告による違反141件だった。

建築基準法とは、昭和25年5月24日法律第201号に施行された国民の生命・健康・財産の保護のため、建築物の敷地・設備・構造・用途についてその最低基準を定めた法律である。前身は市街地建築物法(大正8年法律第37号)である。

地震国の日本において、この建築基準法に定められた耐震基準を満たさないマンションやホテルなどが一級建築士の行なった国土交通大臣認定構造計算ソフトウエアの計算結果を改竄した形での構造計算書の偽装を建物の建築確認・検査を実施した行政および民間の指定確認検査機関が見抜けず建設されていたという事実は、人命や財産に関わるものであることから大きな社会問題となった。
その中で一番、有名な事件が「姉歯事件」である。
経緯は、姉歯建築設計事務所が元請けの建築設計事務所若しくは下請けとして構造計算を行った竣工済のものを含む20件の建築物について、当該事務所が構造計算書を偽造していた可能性があるとして建築確認検査を行ったイーホームズ株式会社から、国土交通省及び特定行政庁に報告があり発覚した。
この件で姉歯氏以外にもヒューザーの小嶋氏も当時のニュースで話題になった。

今回のこの消防と建築で点検が終わっていない48件は、9月中旬までに実施する。

また、消防設備などの改善を促すため、県は10日から、県内企業を対象とした融資制度「新事業活性化資金」の対象を拡大し、宿泊施設の防火安全対策者への融資も認めることにした。

阿部知事は3日の定例会見で「長野県の宿泊施設全体に問題があるわけではないが、人の命を預かる立場を自覚して取り組んでもらいたい」と述べた。



※参考
Wikipedia 建築基準法
Wikipedia 構造計算書偽造問題