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水から生成した水素で鉄骨切断・建物解体

戸田建設は、このほど水から生成した水素で鉄骨造の建物を解体する「TOーHYCUT(TODA HydorogenGasCuttingSystem)工法」を開発した。

アセチレンガスを全く使用せず、水素ガスを利用し切断することで切断効率が高いほか、ガス燃焼時の二酸化炭素排出もゼロにした。
同工法は、自動切断ロボットや分割型走行レール、酸水素制御装置、搬送台車などで構成。
ロボット本体が柱に取り付けた走行レールに沿って柱を一周し、切断する。水素ガスは水から生成し、同時生成した酸素と切断トーチ先端で燃焼させ切断する仕組み。
水素ガスはアセチレンに比べ比重が小さいため、ガス漏れが発生しても爆発下限界濃度に達する前に大気中に拡散する特徴がある(密閉空間を除く)。
発火点もアセチレンに比べ高いため安全性に優れ、燃焼速度が速く火炎が集中しやすく切断速度が高まる。鉄骨造建物の解体はアセチレンガスを切断用に使うことが多かったが、超高層・高層建築物などは柱や梁に厚肉の鋼材(最大で75ミリ程度)を使用しているため、切断能率が上がらない点が課題となっていた。
同工法では水素ガスの適用に加え自動化することで、切断効率を飛躍的にアップ。同社試算では切断効率が従来比2・5倍となる一方、ガスコストは3分の1に低減できるなど合理化効果も大きい。さらに二酸化炭素を排出しないため、地球環境保全に貢献できる側面もある。同社ではつくば市内のS造6階建建物の柱を同工法を用いて切断し、生産性を検証。今後は超高層から中低層建物の解体工事まで同工法を適用する。